①肺炎球菌
肺炎球菌による感染症です。2歳までのお子さんでは敗血症・細菌性髄膜炎・肺炎・中耳炎の原因となるため予防接種で感染を防ぎます。
接種時期
生後2から始めて4週間隔で3回、3回目から60日以上開けてかつ12ヶ月~15ヶ月で4回目
②5種混合(4種混合+ヒブ)/2種混合 定期接種
ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)、ポリオ(IPV)の4種混合ワクチンに、ヒブとして接種していたヘモフィルス・インフルエンザ菌b型を加えた5種混合ワクチンです。ヘモフィルス・インフルエンザ菌はインフルエンザを起こすインフルエンザウイルスとは別の物です。敗血症・髄膜炎の原因となり、発症すると予後が不良ですが、予防接種でほぼ100%防ぐことができます。百日咳は、小児がかかり易く、乳児では息止め発作を誘発して重篤になることがあります。早期に接種して予防することが大切です。
接種時期
生後2ヶ月から始めて4週間隔で3回接種し、6カ月以上開けて(通常1歳から1歳3カ月までに)4回目を追加接種します。さらに、11歳以上13歳未満で沈降ジフテリア・破傷風(DT)トキソイドの2種混合ワクチンを接種します。
大切なお知らせ
学童期に百日咳に対する予防効果が下がって感染が増えることが分かってきたので、就学前に3種混合ワクチン(DPTトリビック:任意)を接種することが日本小児科学会から推奨されています。是非ご検討ください。就学前にMRやおたふくかぜと一緒の接種がお勧めです。ご希望の方はお電話でご予約下さい。
③B型肝炎 定期接種
B型肝炎はお母さんからの母子感染や輸血による感染が良く知られていますが、知らないうちにかかることも多い感染症です。急性肝炎を起こす他、慢性化・キャリア化して、将来的には肝硬変や肝臓がんの原因となります。
接種時期
生後2ヶ月から4週間間隔で2回、5種混合や小児用肺炎球菌ワクチンとの同時接種がおすすめです。1回目から20週以上開けて3回目の接種をします。
④ロタウイルス 定期接種
冬から春にかけて多く発生するウイルス性胃腸炎です。嘔吐と下痢が主な症状で、時に白い下痢便が見られます。通常は2~7日程度で回復しますが、脱水、まれに痙攣が群発します。脳症を合併することもあるので注意が必要です。有効な治療薬はないので対症療法となります。
接種時期
生後6週から接種できますが、他のワクチンとの同時接種を考えて、生後2ヵ月からが最適です。ワクチンの種類によって2回または3回接種しますが、腸重積症が起こりにくいように、生後3ヵ月半過ぎ(生後14週6日)までに初回接種を受けましょう。当院では2回のロタリックスをご用意していますが、3回のロタテックをご希望の場合には前もってご連絡下されば準備いたします。
⑤BCG 定期接種
日本は依然として結核のよく見られる国です。乳幼児では粟粒結核や結核性髄膜炎になり易く、後遺症を残すことがあります。BCGワクチンは乳児の重症化予防に有用とされています。9本の針のついたスタンプを押すようにして接種します。通常は10日以降から少しずつ赤くなりますが、1~2日で接種部位が赤くなる場合には、接種前にすでに結核菌に感染していた疑いがありますので、接種した医療機関に相談してください。
接種時期
5~8ヶ月未満の接種が推奨されています。
⑥MR 定期接種
はしか(麻疹)と風疹の混合生ワクチンです。
接種時期
1歳になったらできるだけ早い時期に1回目、小学校入学前の1年間(年長さん)に2回目を接種します。おたふくかぜワクチンや水痘(みずぼうそう)ワクチンと同時接種が可能ですので、1歳になったら同時に接種することをお勧めします。
⑦水痘 定期接種
1歳を過ぎたら水痘ワクチンを接種しましょう。3ヶ月以上開けて2回目を接種します。3歳になる前に終わらせましょう。
⑧おたふくかぜ 任意接種
1歳になったら、MRワクチンや水痘ワクチンと一緒に接種するのがお勧めです。4年程度間を開けて2回目を接種します。就学前にMRや三種混合との同時接種をお勧めしています。
⑨日本脳炎 定期接種
日本脳炎ウイルスが原因です。ウイルスに感染したブタの血を吸った蚊にさされることで感染します。ほとんどの人では発症しませんが、発症すると、発熱、頭痛、けいれん、意識障害を生じて、2~3割は死亡、半数近くに脳障害の後遺症を残します。治療法がないので、予防接種が大切です。
接種時期
一般的には3歳の時に1~4週の間隔で2回、その約1年後に3回目、9~12歳にもう一回4回目を接種します。生後6ヶ月から接種が可能ですので、流行地域では前倒ししての接種が勧められています。6ヶ月~3歳未満で接種をご希望の場合には保健所で接種券を入手していただく必要があります。
⑩ヒトパピローマウイルス HPV 定期接種
子宮頸がんの原因の7割を占め、多くは性行為で感染します。子宮頸がんは女性特有のがんで、20-30歳代から増加し、日本では年間約 一万 人が罹患し、約 3000人が死亡しており、2000年以降も増加傾向です。 ウィルスに対しての治療法はないので、がんに対する治療となりますが、ごく初期を除いては子宮摘出が必要です。
重大な副作用は極めてまれです。日本では接種した人の中に、痛み・運動障害・不随意運動など多彩な症状が報告されて一時期積極的な推奨を差し控える状態となりました。しかし、このワクチンを接種していない同年齢の男女のなかにも同様の症状の訴えがあると報告さてれ、因果関係が証明されないこと、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、現在は積極的な推奨を行っています。
WHO(世界保健機構)や世界の多くの国で安全なワクチンとして認められていて、実際に使用されています。男性でも中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの原因になりますので、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど20か国あまりでは男子に対しても公費接種が行われています。日本でも男子に対する自費での任意接種が4価のガーダシルで認められました。
広いウイルス型をカバーできる9価のシルガード9が2023年4月から公費で接種可能となりました。
小学校6年生から高校1年生年度末の相当の間に接種します。
対象となるウイルス型の数によって、2価・4価・9価があり、接種回数や間隔が異なります。
接種時期
小学校6年生から高校1年生年度末の相当の間に接種します。
対象となるウイルス型の数によって、2価・4価・9価があり、接種回数や間隔が異なります。当院ではシルガード9を準備していますが、その他のワクチンや男子の任意接種をご希望の場合には電話でご相談下さい。
2価 サーバリックス 3回
初回接種の1カ月後に2回目 初回接種の6カ月後に3回目
4価 ガーダシル 3回
初回接種の2カ月後に2回目 初回接種の6カ月後に3回目
9価 シルガード9 2回ないし3回
15歳未満:2回接種 初回接種の6カ月後に2回目(1年以内に終了する)
15歳以上:3回接種 初回接種の2カ月後に2回目 初回接種の6カ月後に3回目