- インフルエンザ
- 突発性発疹
- 麻疹
- アデノウイルス感染症
- 手足口病
- とびひ
- ヘルパンギーナ
- 溶連菌感染症
- おたふくかぜ
- 水痘(水ぼうそう)
- 感染性胃腸炎
- マイコプラズマ肺炎
- RSウイルス感染症
- 伝染性紅斑(りんご病)
- 水いぼ など
小児科(よくみられる感染症)
小児科(よくみられる感染症)
インフルエンザウイルスが原因でおこる呼吸器の感染症です。普通の風邪より症状が強く、冬に流行します。飛沫感染し、脳炎や脳症の原因となることがあります。予防接種で発症率や重症化率を下げることができるとされています。
発症から5日、または解熱から2日(幼児では3日)
ヒトヘルペスウイルス6・7による感染症です。2歳までにほとんどの人がかかるとされています。突然の高熱で発症しますが、その割には機嫌もよく、食欲もあることが特徴です。通常、発熱は3〜4日で自然に治まり、解熱後に全身に紅斑が現れます。かゆみや痛みなどは伴いません。この時期にはむしろ不機嫌で、下痢を伴うこともあります。一般的には1週間程度で自然治癒する病気ですが、熱が上昇する際に熱性けいれん、ごく稀に脳症を発症することもあります。後から振り返ると典型的な経過を確認できることが多いのですが、経過中は他の感染症と区別がつかいないこともあります。
解熱して全身状態が良ければ登園できます。
A群溶血性連鎖球菌という細菌が原因です。こどもの感染症で抗生物質が必要となる数少ない感染症です。発熱、強い咽頭痛、吐き気も稀ではありません。体を中心に細かい発疹がでて、痒みを伴うことも多いです。喉を見ると真っ赤で、舌が苺のようになることがあります。迅速検査キットで検査をします。リウマチ熱や糸球体腎炎の原因になることがあるので最後まできちんと薬を飲み切ることが大切です。
抗生物質内服から24時間たって症状が軽減されていれば出席できます。
RSウイルスが呼吸器に感染することで起こります。秋から冬に流行し、鼻水や咳から始まって、多くは発熱を伴い、ゼーゼーを伴う激しい咳になることがあります。多くは2歳までに感染しますが、年長児や大人だと咳の出る風邪で済むことが多いので、兄弟からうつることも。年齢が小さい程重症になりやすく、生後数週から数ヶ月の乳児では細気管支炎から呼吸困難になることもあります。1歳未満では迅速キットで検査できます。
RSウイルスに対する特効薬はないので、気管支拡張薬や去痰剤を対症的に使って経過をみますが、呼吸困難や哺乳不良では入院が必要なこともあります。早期産や基礎疾患のある赤ちゃんはモノクローナル抗体での予防も試みられていますので、適応の有無を基礎疾患を診ていただいている主治医に相談しましょう。
マイコプラズマという細菌による呼吸器感染症です。RSが乳児期なのに対して、年長児や学童期の長引く咳では疑う必要があります。
マクロライド系抗生物質(クラリスなど)で治療しますが、残念ながらおいしくありません。飲めない時や効果が見られない時はニューキノロン系のお薬への変更が必要になることもあります。
百日咳菌による急性呼吸器感染症です。コンコンコン・ヒューという独特な咳が特徴で、乳児では息止め発作を誘発します。五種混合ワクチンを2ヶ月から投与して予防することが大切です。学童期に予防効果が下がって感染が増えることが分かってきたので、就学前に三種混合ワクチンを接種することが日本小児科学会から推奨されています。
抗生物質で治療します。
夏かぜのウイルスで起こる病気で、手のひら、足のうら、口の中に水疱(水ぶくれ)ができるのが特徴です。生後6ヶ月くらいから4~5歳ころの乳幼児に多く、夏に流行します。口の中が痛くて食べられなくなることがあります。口の症状に遅れて、手のひら、足のうらなどに米粒くらいの水疱ができます。発疹は一週間以内に治りますが、1ヶ月くらいたって爪が割れたり、指の皮がむけたりすることがあります。
特効薬はないので、口や喉にしみない、のど越しの良いものを採って、脱水を予防します。手足口病ではまれに脳炎や髄膜炎などの合併症が見られることもあるので、高熱や頭痛、ひきつけ、嘔吐などなどいつもと様子が違う場合には受診しましょう。
夏かぜのウイルスで起こる病気です。水疱ができて発熱がある点で、手足口病と似ていますが、手や足には発疹は出ず、口だけに症状が現れます。乳幼児の間で流行し、38〜40℃の高熱が2~3日続きます。のどの奥に小さな水ぶくれができ、痛くて食べられなくなることがあります。重症の場合には、水分も飲めず脱水症になることもあります。熱は2~3日で下がり、水疱も一週間くらいで治ります。
特効薬はないので、対症療法です。のど越しの良いものを採って、脱水を予防します。
アデノウイルスによっておこる咽頭炎や結膜炎などです。高熱が5日程度と長引くことがあります。感染力は強く、接触や飛沫でうつります。目の充血、目やにを伴う場合は、プール熱とも呼ばれます。急な発熱からはじまることが多く、40℃くらいまで上がることもあります。熱は昼間に下がり、夕方になると上がるなど上下する場合もあり、高熱の割に比較的元気なケースもあります。
治療法ないので対症療法です。
発熱などの主要症状が消えた後2日を経過するまで
麻疹ウイルスが原因です。感染力が非常に高く、空気・飛沫(ひまつ)・接触感染経路によって鼻やのどから感染します、肺炎や脳炎など重篤な合併症も見られます。10~12日の潜伏期間後に風邪症状から始まり、一旦解熱したように見えた後に再度の発熱とともに発疹がみられます。
治療法はありませんが、MRワクチンで予防できます。1歳になったらできるだけ早くうけましょう(1~2歳未満)。予防には2回目の接種も必要です。小学校入学前の1年間に2回目の接種を済ませます。
解熱した後3日を経過するまで
水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。みずぼうそうにかかっているお子さんや、帯状疱疹を発症している大人からうつります。発熱とともに赤い小さな発疹から始まり、先端に水疱をもった特徴的な発疹が全身に広がり、痒みを伴います。
抗ウイルス薬(アシクロビル ガンシクロビル)はありますが、予防が第一です。1歳を過ぎたら水痘ワクチンを接種しましょう。3ヶ月以上開けて2回目を接種します。3歳になる前に終わらせましょう。
全ての発疹が痂疲化(かさぶた)になるまで
水ぼうそうは治ってもウイルスが長く体の神経節細胞内に留まっているため、何年か後に帯状疱疹(帯状ヘルペス)を発症することもあります。
ムンプスウイルスが原因です。耳下腺や顎下腺が腫れて痛みを伴います。食事、特に酸っぱいもので痛みは増強します。1週間ほどで自然治癒しますが、無菌性髄膜炎、元に戻らない難聴(主に片側)、急性脳炎を合併することがあります。
治療法はありません。任意接種となりますが、予防接種が効果的です。1歳になったら、MRワクチンや水痘ワクチンと一緒に接種するのがお勧めです。予防効果を確実にするには2回の接種が必要です。就学前のMRワクチンとの同時接種をお勧めします。
腫脹が見られた日から5日間で全身状態がよくなるまで
風疹ウイルスが原因です。発熱、全身の発疹、頸部や耳の後ろのリンパ節腫脹が見られますが、発熱は軽度で気づかれないこともあります。妊娠初期の女性が風疹にかかると、生まれつきの難聴、白内障(目のレンズの部分が白くにごって見えなくなる病気)、心臓病、精神運動発達遅滞などを持った先天性風しん症候群(CRS)の赤ちゃんが生まれることがありますので、社会全体で予防してゆくべき感染症です。
治療法はありません。MRワクチンで予防します。
発疹が消失するまで
胃腸炎のほとんどはウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)で、一部に細菌性(カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)が見られます。ウイルスが付着した料理を食べたり、手指についたウイルスが口に触れたりすることで感染し、冬場、幼稚園や小学校などで集団発生することも少なくありません。症状は下痢、腹痛、嘔吐、発熱です。家族に感染することも多いので、家族全員で手洗いを十分するように心がけましょう。
脱水を予防し、症状に合わせた内服薬を服用します。細菌性が疑われる場合には抗生物質を使用することもあります。脱水予防には、自宅で出来る経口補水療法(ORT;oral rehydration therapy 嘔吐の項目を参照してください)が効果的です。
初夏から夏にかけて乳幼児や学童によくみられる病気です。虫さされや皮疹を引っ掻いたところに細菌が感染して発症し、水ぶくれや発赤、びらんなどができます。かゆみが強く、かきむしった手を介して、火の粉が飛んで燃え移るようにあっという間に全身へ広がります。この広がり方から「飛び火」と呼ばれています。
抗生物質入りの軟膏で治療しますが、広範囲な場合には飲み薬の抗生物質が必要になることもあります。適切な治療により、一週間程度で治っていく病気です。人にもうつりますので早めに治療しましょう。
水いぼとは軟属腫ウイルスによる小さないぼで、幼児~小学校低学年のこどもによく見られます。自然治癒するのですが、半年から1年ほどかかります。引っかいたり、潰したりすると他の部位に広がったり、兄弟にうつったりします。数が少ない場合にはピンセットで摘除することも可能ですが、痛みを伴いますし、数が多い場合には困難です。このようなお子さんのために水いぼクリームによる治療が試みられています。強力な抗菌作用のある銀イオンを含んでおり、水いぼ周囲に1日2回塗っていただきます。2~3ヶ月継続していただくと80%で治癒すると報告されています。クリームは保険適応がないので自費購入となります。当院を受診していただき、診断が確定しましたら購入が可能となります。
*;m-BF CREAM 15g 2300円(取り扱い手数料込み)
小児の新型コロナウイルス感染症では未だ分かっていないことも多いのですが、基礎疾患のあるお子さんを除いては一般的に軽症です。12歳未満で使用できる薬剤はありませんので、去痰剤や解熱剤で対症的に診ていくことになります。オミクロン株以降は小児の感染数も増え、クループ症候群や熱性けいれんの合併、ごくまれに脳症・心筋炎の報告もされるようになっています。小児に対する予防接種も、安全性・有効性を考えて推奨されています。特に基礎疾患のあるお子さんは接種されることをお勧めします。